はじめに

近年、院内感染に対する患者さんの関心が高まってきています。
当院では、皆様に安心して治療・予防を受けていただくため、様々な対策を取っています。

1.歯を削る器具を滅菌

歯を削る『タービン』『コントラアングル』などと呼ばれる器具は、まず内部を洗滌する器械できれいにした後、オートクレーブと呼ばれる器械で滅菌しています。

 

歯を削る器具は大変複雑な構造をしており、表面をアルコールで拭いただけでは感染予防にとって極めて不十分と言われています。

 

当院では、タービン外部のみならず内部まで滅菌することにより、患者さんから別の患者さんへの感染を予防しています。

 

また、スタッフにとっても安全な環境を提供しています。

2.逆流防止機構付きユニット

エアタービン(歯医者に行くと聞こえてくる、あのイヤな音のする機械)には、削るときに発生する熱を冷却するため、水が噴霧される様になっています。
ところが、回転の止まるときに注水機構が逆流し、患者さんの唾液や血液が機械の中に逆流してしまいます。
そして次に使用するときには、逆流した患者さんの唾液等が噴出されてしまいます。
したがって、タービンの外側を幾ら丁寧に消毒したとしても、院内感染の原因となります。

 

当院では、開業当初より『逆流防止機構』付の診療ユニット(チェア)を使用し、前に診療を受けられた患者さんの唾液等が他の患者さんのお口の中に入らぬよう、配慮しています。

 

ただ、この機構は回転停止したあとに数秒エアーが出続けることにより、お口の中の水等が若干飛散しますので、お顔にお水がかかる場合があるかもしれません。
感染予防のためのやむを得ない現象ですので、ご承知おきください。

3.2台の高圧蒸気滅菌機(オートクレーブ)

高温・高圧にすることにより、ウィルスや細菌を完全に死滅させる装置です。

 

当院では、オートクレーブのかけられるものには極力この装置を使用していますので、1台では足りず2台導入しています。

顔に掛けるタオルも滅菌

歯科医院で治療するとき、どうしても水などが飛散し、顔にかかる場合があります。
したがって、顔にタオルを掛けてもらうことがあると思います。

 

 

ところが、その多くは洗って乾かして使用しているようです。

 

しかし、実は飛散しているのは水だけでなく、唾液や歯の削りかす、血液、そして多量の細菌やウイルスも含まれています。
つまり、タオルは極めて不潔になってしまいます。
それをいくら丁寧にに洗ったとしても、たとえ見た目がきれいになったとしても細菌やウイルスは残ったままです。
したがって、そのタオルを顔にかけるのは極めて危険です。

 

当院では、お顔に掛けるタオルも滅菌しておりますので、細菌やウイルスは完全に死滅しておりますので、安心してお顔にかけて戴けます。

 

ちなみに、当院に見学に来た歯科衛生士さんやその学生さんは、

 

『タオルまで滅菌しているんですか?』

 

とほぼ確実に驚かれます。
このことは、多くの歯科医院でタオルが滅菌されずに使われていることを示唆しています。

4.弱酸性強酸化水産生装置

手指や器具を徹底洗浄する、ソフト酸化水生成器です。

 

ソフト酸化水とは強酸化水、アルコール消毒剤に勝る高い除菌力を持ち、一般的な強酸化水に見られる有効成分のガス化(塩素ガス発生)などの問題も少なく、優れた除菌力を発揮する弱酸性電解水です。

 

中性に近いpH値で生体に優しく、金属類やその他の物質を酸化させる心配はほとんどありません。
除菌する水による効果的な洗浄により、院内の衛生を保ちます。

5.オゾン水生成装置

殺菌力の強いオゾン水を滅菌前の器具の洗滌に使用しています。

6.次亜水生成装置

むし歯治療やお口の中の消毒、歯周病治療時に使用しています。

 

7.スタッフ教育

1〜6は主にハード面の対策でした。
しかし、たとえどんなに良い機器をそろえたとしても、それを正しい知識に基づいて使用しなければ意味がありません。

 

実は滅菌に力を入れている、と言いながらスタッフの感染予防に対する教育が不十分な場合が多いのが現状です。
なぜなら、歯科医師自体が学生時代に清潔不潔に関する充分な実習を行っておらず、口腔外科出身のように徹底的に指導された環境の中で鍛えられた歯科医師でなければ、当然ながらスタッフにも正しい教育が出来ません。

 

清潔さに対する理解度を『清潔観念』と言う言葉で表します。
この清潔観念をスタッフに教え込むのは大変難しく、誤った行動をした瞬間に注意をしなければ、なかなか正しい知識が身につきません。
当院でスタッフに清潔に関する注意をしているのを耳にしたら、それは当院スタッフが清潔不潔の区別が出来ていないのではなく、高レベルの清潔観念を教え込む目的で行っておりますので、ご理解いただきますよう宜しくお願い申し上げます。

 

また、このことは歯科医院で働くスタッフ自身の健康を守るためにも、大変重要です。
気がつかずに感染の危険にさらされている歯科医療従事者が多いことが心配でなりません。

 

8.スタッフを守ることが患者さんの感染予防に!

1987年にアメリカで、エイズに感染した歯科医師に治療を受けた
当時19歳だった敬虔なクリスチャンの女性が、エイズに感染する要因が全くないにもかかわらずエイズにかかり、話題になりました。
これを、『キンバリー事件』といい、歯科医師からエイズに感染したと言われています。

 

歯科医師やそのスタッフが感染症にかかっていると、患者さんにも感染してしまう危険があります。

 

使用済み器具の手洗いは必要不可欠(食洗機等では汚れが取りきれない)ですが、スタッフにとって非常に危険な作業といえます。
四日市さくら総合歯科では、器具をまず酵素剤につけ置きし、消毒・滅菌の妨げになる有機質を除去し、それを超強力な超音波洗浄器にかけ、更にオゾン水で洗い流して細菌やウイルスを極力排除したあと、始めて手洗いをさせています。
このことにより、スタッフが感染の危険性から解放され、結果的に患者さんの安全にもつながります。

 

9.バキュームとコンプレッサーの機械を、屋外に設置した2つの部屋に分離

歯科医院で必ず設置される機械として、

 

バキューム(吸引)装置
コンプレッサ(圧搾装置)

 

があります。
バキュームは、唾液等を吸引する際に使用する装置で、コンプレッサは歯を削る装置や、お口にエアー(風)をかけるために必要な装置です。

 

残念ながら、多くの歯科医院では、設置スペースを節約するためこの2つの機械が同じ部屋に設置されている場合が多いようです。
この二つを同じ部屋、又は近くに設置すると、患者さんの唾液に混ざった細菌・ウイルスがバキュームの近くに飛散し、それが再びコンプレッサに混入し、他の患者さんのお口の中に入ってしまいすので、大変不潔です。

 

当院ではこの2つの機械を、屋外に独立して設置した建物の中に、各々別の部屋を設け、完全に独立した状態で設置しています。
これにより、患者さんのお口の中に入るエアーへの、細菌の混入を防いでいます。

 

 

10.超音波洗浄器

水洗いしたあとの器具を、強力な超音波で洗浄します。

 

一般的な超音波洗浄器は、器具の入れてある場所によって
超音波の強さにムラがあり、洗滌が不十分な器具が生じてしまいます。

 

四日市さくら総合歯科で使用しているのは、容器内のどの場所にある器具にもまんべんなく強力な超音波洗浄が可能な『ダイレクション・ソニック』と呼ばれる製品を使用しています。

 

予め汚れ(有機質)を綺麗に落としておかないと、たとえ上記のオートクレーブを使用しても細菌等を死滅させることができません。
したがって、オートクレーブの前処置として行います。

 

 

11.各種消毒用薬剤

様々な消毒用薬剤を、適材適所使用しています。

 

 

12.ディスポーザブル(使い捨て)

消毒・滅菌のできない物は、使い捨てにすることにより安全性を確保します。

 

(1)紙コップ、エプロン

 

(2)注射針と麻酔の薬剤

 

(3)手袋 他

 

 

14.オイルライザー

高温のオイルで細菌やウイルスをタービン等の回転機器を殺菌する装置です。

 

機器の内部に侵入した細菌等にも効果があります。
当院では回転切削器具には使用せず、補助的に使用しています。

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