成人矯正に反対する理由

これは院長の個人的意見ですが、下記理由により基本的に成人の矯正治療はお勧め出来ません。

問題の大きい後戻り

矯正治療を行う際に問題のなるのが、“後戻り”と呼ばれる現象です。
しかし、実際は元の位置に戻るのではなく、新たに別の場所に動いてしまうことがほとんどです。
永久歯は生えてくるとき、個人個人の顎の動きに合わせて微妙に位置や傾きを変えていきます。したがって、歯並びが悪いなりに、ある程度顎の動きにあった位置や角度になって安定します。

後戻りによって、歯周病になりやすくなる

ところが、矯正治療は個々の顎の動きとはあまり関係なく歯を並べ、さらに装置を外すと やがて元合った位置とは違う場所へ移動していくため、上下の歯の接触関係は治療前より悪化することが多く見られます。
その結果、比較的若い年齢で部分的に重度の歯周病になって、当院に来院されます。

慎重であるべき成人矯正

以上の理由により、さくら総合歯科では原則として成人の矯正治療は行っておりません。
ただし、歯周病の治療で “永久固定” という処置が必要な場合に限り、成人でも矯正治療を行うことはあります。
因みに、さくら総合歯科の院長は歯ならびが悪いにも関わらず、この理由によりあえて矯正治療は行っておりません。
しかし、歯周病の原因や促進要因に対するアプローチをしっかり行っていることから、今のところ歯周病で悩まされることはありません。
因みに、院長の父親は、今の私の年齢で既に上下の歯が1本もありませんでした。

成長しないので歯を抜く必要があることが多い

歯ならびが悪い、ということは、簡単に言えば 狭いスペースに歯が “おしくらまんじゅう” をして、はみ出してしまった状態です。
成人は当然ながらあごの成長が期待できません。
歯の外側(頬や唇側)には通常薄い骨しかなく、歯の並ぶスペースを作るために無理に外に広げる(移動する)と、歯を支える骨からはみ出し、さらに歯ぐきが退縮して下がって)しまい、問題となることがあります。
当然ながら成人のあごが成長することはありません。だからやむを得ず大切な歯を抜いて、それによりできたスペースに歯を並べざるを得ないのです。
近年、歯を抜くことによる様々でメリットがあることがわかってきており、その代表的な問題が、下記の“ベロの部屋”の問題です。

歯を抜いて歯を並べると、“ベロの部屋”が狭くなる

もともとはならびの悪い人、かみ合わせの悪い人、そして歯を抜いて矯正治療を行った人の共通事項として、“ベロの部屋”が狭くなる、と言う問題があります。
“ベロの部屋”と言う言葉は、東京のベテラン矯正専門医が提唱した言葉です。
歯の内側には舌があり、それは食事や会話、嚥下など、極めて複雑で高度な仕事をしています。
舌が十分に機能を発揮するためには、そのためのスペースが必要です。ところが、歯を抜くなどしてスペースが狭くなると、舌は後下方に押しやられます。

位置が下がった舌は呼吸を抑制

舌の後ろには「咽頭」があり、舌が下がればそこが狭くなります。
咽頭は空気と食物の通り道。舌の機能が悪ければ食物を飲み込む機能にも問題が生じますが、それより問題になるのは「呼吸を抑制」すること。
つまり、体が酸素不足になるのです。
酸素不足になると、
・ ボーッとしている
・ 落ち着きがない
・ 機嫌が悪い
など、様々な症状を呈することに、熱心な小児歯科医は気付いています。
この件に関しては、さくら総合歯科ベビーキッズ歯ならびクリニック 妊婦・赤ちゃん・こども編 にさらに詳しく記載しています。

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