歯科技工士( Dental Technician )とは

歯科技工士は、歯科医療における縁の下の力持ちです。

 

具体的には、歯科医院で治療を受けた際、お口の中に入る詰め物(インレー)・被せ物(冠)・ブリッジ・入れ歯などを作る、医療系の専門技術職で、歯科医療において重要なお仕事をしています。

 

歯科技工士の存在なくして、歯科医療は成り立ちません。

歯科技工士が不足してきた理由

過酷な歯科技工士の労働条件

ところが、10年以上前から、歯科技工士の質の低下が深刻になってきました。
もともと歯科技工士は、

 

・ 労働時間の割りには収入が少ない
・ 経営が安定しない
・ 診療報酬の低下に伴い、技工料は据え置きにもかかわらず、材料代などの経費は上昇し、利益がじり貧

 

などの理由で、さくら総合歯科院長が歯科医師になった頃(25年以上前)から、歯科技工士をやめてタクシー運転手になったり、宝石加工業に転身した方の話題を耳にしたことがあります。
最近では、20代の歯科技工士の離職率は80%に達しているそうです。

 

 

更に、歯科医療の一医院あたりの収入が大幅に減少してきている近年、歯科技工士の収入も減少傾向にあります。

 

歯科技工は大変手間のかかる作業が多く、一つのもの(技工物)を作るのには多くの患者さんが考えているより遙かに時間がかかります。

 

(歯科技工の一例は、手間のかかる歯科技工のページ をご覧下さい。)

 

歯科技工士学校の定員割れや閉校

したがって、歯科技工士の志望者自体が減少し、歯科技工士の専門学校は大幅な定員割れ、せっかく歯科技工士になったとしても、労働条件に耐えきれず、転職してしまう人が後を絶ちません。

 

愛知県では専門学校の一部が既に閉鎖、三重県唯一の専門学校も平成22年度で閉鎖となりました。
(つまり、三重県には歯科技工士学校が無くなります。)
全国的に見ても、徐々に歯科技工士学校が減少しています。

 

某歯科医師の団体が、

 

『これからは予防の時代だから歯科技工士は要らない』

 

と言ったという話を伝え聞きましたが、予防にまじめに取り組んだことのある歯科医師であれば、予防が容易ではないことは身にしみてわかっていると思います。

 

それどころか、かみ合わせの悪い人が増えている今後は、ますます噛むことで不自由する方が増え、歯科技工士の必要性が増すのではないかと、私は考えています。

深刻な歯科技工士不足の影響

ところが、歯科技工士の志望者が減少したことにより、若い技工士の質の低下が顕著になってきました。

 

もちろん、職人的な腕をもつ者も一部に存在すると思いますが、自分の作ったものが人の体の一部になる、ということを全く認識せず、自分の仕事が楽になることだけを考えているとしか思えない製作物(技工物と言います)を、平気で納品して来る場合が多くなっています。

 

さくら総合歯科では、技工物の出来に対して開業当初から厳しく、出来の悪いものは型を取り直して作り直してもらっています。

 

しかし近年、技工士不足により歯科技工士が歯科医院を選ぶ時代になって来たため、作り直しが多くなると、取引をやめようとする強気な技工所が増えてきました。

 

もちろん、質の低い技工士を雇わざるを得ない歯科技工所のご苦労もわからないではありません。
しかし、その様な技工物を入れられた患者さんは、たまったものではないのではないでしょうか?

優秀な歯科技工士のする仕事

それでは、優秀な歯科技工士はいないのでしょうか?

 

 

そんなことはありません。
中堅以上の歯科技工士の中には、職人気質の名人歯科技工士が存在します。

 

例えば、名人と言われる宮大工が家を建てる場合、必ず時間をかけてじっくり建築します。
決してハウスメーカーのように、短期間に完成することはありません。

 

全てがフルオーダーメイドの作業となる歯科技工も、同様です。
名人歯科技工士は、自分が納得する仕事をするため、時間をかけて作業を行います。
この場合、当然低報酬の保険のお仕事では生活して行けません。
そういう方々は、必ず自費診療(保険外診療)の仕事を中心に行い、生計を立てています。

 

名人歯科技工士のいる技工所に保険の技工を依頼したとしても、残念ながら名人本人ではなく、若い技工士に保険の技工は任せます。
技工士を雇っていない技工所では、他の技工所に孫請けの形で作成を依頼しています。

 

保険の歯科技工を丁寧に行っていると生活が出来なくなり、結局廃業に追い込まれます。
実際、当院が開業当初からお世話になった、良心的な歯科技工士の方は、 (夫婦揃って技工士で共稼ぎであったにもかかわらず)数年前に廃業し転職してしまいました。

 

つまり、保険で質の高い技工物を期待することは、どんなに口で
『 うちは保険で質の高いものを作っている 』
とうそぶいている歯科医院でも、現実には実現不可能なのです。
(当院で自費診療をお受け戴ければ、よい物を作るのには、如何に手間と時間を要するかがお解りいただけると思います。)

歯科技工士不足に対する当院の対策

歯科技工は、歯科医師本人も行うことが出来ますが、残念ながら現実的には不可能です。
したがって、歯科医師自身がどんなに努力しても、全てが解決、ということは困難です。

 

とはいうものの、何とか保険診療・自費診療とも質を保つよう、努力をしなければなりません。

 

そこで、当院では保険の技工は、比較的品質の安定している大きな技工所にお願いしています。

 

大きな技工所はベテランが自費の技工、若手が保険の技工とすみわけが出来ており、ベテランが若手を支えることにより、保険技工の品質を保つことが可能になります。
(もちろん、大手技工所だから必ず良心的とは限りません。所長さんの研鑽努力および人格が大きく影響します。)

 

 

一方、自費の技工は開業当初よりベテランの優秀な技工士さんと、その方の紹介で知り合った、やはり優秀な技工士さんにお願いしています。
当院の自費診療水準を保つためには、このお二人の力は欠くことが出来ません。