FMD法:歯周病原因菌を一網打尽

(1) FMD法とは?

Quirynenにより提唱された、24時間以内にお口の中の感染物(歯垢・歯石)を除去する方法のことを言います。
殺菌剤を併用したり、近年では処置前に内服抗菌薬を用いて術後の菌血症リスクを低減する工夫がされるようになりました。

 

抗菌薬とFMD法の併用は、近年歯周内科とも呼ばれています。

 

(2) FMD法と従来法(歯周基本治療)との違い

歯周病の基本治療を行うには、かなりの回数の来院が必要です。

 

通常、中等度以上の歯周病患者さんの歯ぐきの下の見えない所に付着している歯石は、何度にも分けて除去します。
何故なら、除去するのに大変時間がかかるからです。

 

しかし、何度にも歯石を分けて除去する方法には、欠点があります。
歯石を取った歯の歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の隙間)の中には、歯周病の原因となるバイ菌が非常に少なくなります。

 

ところが、まだ歯石を取っていない歯の歯周ポケットには、たくさんの歯周病菌が存在します。
その歯周病菌が、先に歯石を取り去った歯周ポケットに進入し、再び住みついてしまいます。

 

FMD法は、歯石を一度にほぼすべて除去してしまうことにより、歯周病菌の再感染を抑制しよう、という方法です。

 

(3) FMD法のメリット

・ 抗菌薬を併用することにより、歯周病菌を激減させる可能性がある。
・ 通常の歯周基本治療より治療期間を大幅に短縮出来る。
・ 再生療法の成功率が向上する。
・ 歯周病が誘因となる病気(皮膚病やリウマチなど)が
 改善・治癒する。

 

といったメリットが期待されます。

(4) FMD法のデメリット

・ 歯石の量が多い場合・硬い場合に、1〜2度では取り切れない場合があります。
・ 1回の治療時間が数時間に及びます。
・ 健康保険適応外のため、自費診療となります。

 

(5) FMD法の適応

・ 短期間で治療を行いたい方
・ 菌血症を避けたい方(抗菌薬を併用した場合)
・ 手術の成功率をよくしたい方
・ よりよい治療成績を望まれる方

 

などに適しています。

 

3DSや光殺菌と併用する場合もあります。

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