歯科全般の質問

 お酒を飲む人は麻酔が効きにくいって、本当ですか?

お答え

局所麻酔薬の効果に最も大きな影響を及ぼす要因は、組織の炎症の有無です。

 

 

正常組織のPHは7.4と弱アルカリです。
この状態では35%の局所麻酔薬が細胞膜を通過しやすい形を取っています。
一方、炎症を起こした組織は酸性になり、PHが6.8まで低下すると、細胞膜を通過しやすい麻酔薬は約10%にまで低下します。

 

つまり、効き目が1/3になると考えられます。

 

 

また、炎症を起こした部位では、組織に水分(組織液)がたまり、局所麻酔薬が希釈され、更に効きにくくなる要因となります。

 

 

一方、局所麻酔薬の効果を高める目的で添加されている血管収縮薬は、紫外線によって酸化・分解されます。
また、室温以上の高温環境では、紫外線ほどではないものの、分解が促進されます。
酸化を防止する目的で添加されている酸化防止薬も、光により変化し、局所麻酔薬のPHを低下させます。

 

 

これらの原因により、麻酔薬は効きにくくなります。

 

 

それでは、よく「自分は酒をよく飲むので麻酔が効きにくい」とおっしゃる方がおられますが、本当でしょうか?

 

 

多量の飲酒歴のある方は、エタノールを分解するため、肝臓でのアルコール脱水素酵素と非特異的なチトクロームP450系の薬物分解酵素の合成が盛んになります。

 

 

したがって、静脈麻酔薬などの全身麻酔薬は分解されやすく、効きにくくなる場合があります。
しかし、局所麻酔薬の効果に影響するのは、肝臓ではなく局所での局所麻酔薬の分解速度です。

 

したがって、飲酒は局所麻酔の効きには影響を及ぼしません。

 

結論

歯科医院で行われる局所麻酔の効き目は、飲酒によって左右されません。

 

歯周病に関する質問

 歯ぐきがやせて(下がって)きました。歯周病ですか?

お答え

歯ぐきが歯周病によって下がるのは、かなり進行し手遅れに近い状態になってからです。
(治療を受けたことがない場合)

 

 

ただし、歯周病にかかった方が歯科医院で治療を受けると、多くの場合歯ぐきが下がります。

 

 

歯ぐきがやせる原因の多くは、過渡の歯磨きです。
また、歯ぎしり・食いしばりが原因となる場合もあります。

 

 

歯科医院で何度も歯磨き指導を受けた方でも、ほとんどの方は歯磨きの時歯ぐきを傷つけています。
歯ぐきがやせたために歯周病が進行したと勘違いし、更にごしごし磨くために余計に歯ぐきが下がってしまう方が、時々来院されます。
日本人(とくに女性)は元々歯ぐきが薄い方が多く、歯ぐきが下がりやすいので、正しい知識を持ち合わせた歯科医院で歯磨き指導を何度も受け、更に定期的な観察を受けられることが重要です。

 

結論

殆どの場合は、乱暴な歯磨きが原因で、一部歯ぎしりや末期の歯周病の場合もあります。

 

むし歯に関する質問

 歯の溝が黒くなってきました。むし歯ですか?

お答え

かつては、歯の溝が黒いと初期むし歯と考え、削って詰めるのが正しいとされていました。
しかし、歯は一旦削って治療すると、余計にむし歯になりやすくなること、初期のむし歯は治せることがわかってきました。
(予防歯科のページ参照)

 

 

したがって、現在はダイアグノデントという器械で進行程度を測定したり、予防処置を施しながら経過観察をする場合が少なくありません。

 

結論

必ずしもむし歯とは限りません。むし歯診断機やレントゲンを併用した正確な診断が必要です。

 

歯ならびに関する質問

下の永久歯が乳歯の裏側(舌に近い方)からはえてきました。大丈夫ですか?

お答え

多くの場合下の前歯4本は、乳歯が抜ける前にその裏側から顔を出してきます。
その後乳歯が抜け、舌の力で前方に移動し、正しい位置に納まります。
乳歯が永久歯に生え替わる頃には、本来乳歯はすきっ歯(歯と歯がくっつかず離れた状態)になり、大きな永久歯が生えてきても大丈夫なように準備します。
そのような場合には、多くの場合全く問題ありません。

 

 

ただ、現代のお子様は乳歯が殆どすきっ歯になっておらず、永久歯の生えるスペースが不足しています。
この場合、たとえ慌てて抜けていない乳歯を歯科医院で抜いたとしても、永久歯の歯ならびは改善されず、歯ならびは悪くなります。

 

結論

はえるスペースさえあれば、殆どの場合問題ありません。
ただし、乳歯がすきっ歯になっていない場合は、永久歯がどこから生えてこようと歯ならびは悪くなります。

サブメニュー