口腔内科 (Oral Medicine) ってなに?
歯科治療は、今まで殆どが外科的な処置(削る・詰める・抜く)で占められていました。
それに対し、お口の中に症状を現す病気を診断し、外科的なアプローチ(手術など)とは異なる方法で、お口の病気の治療を行なうことを『口腔内科』と呼び、歯周病、ドライマウス、口腔心身症、腫瘍などが対象となります。
口腔内科は、欧米ではすでに確立されていますが、日本では未だ発展途上の段階にあり、多くの場合口腔外科がその役割を担っています。
口腔内科という考え方は、色々な歯科医師によって提唱されていますが、当院では独自にの考えに基づいた口腔内科を実践しています。
さくら総合歯科の口腔内科とは?
四日市さくら総合歯科で行っている口腔内科は
・ 分子栄養学的アプローチ
・ 3DS
・ あいうべ体操
・ サプリメント
・ 漢方薬
の5つに大別できます。
これらにより、お口の中の病気やそれにより引き起こされる全身の病気を改善することを目的としています。
1.分子栄養学的アプローチ
主に当院では歯周病治療の患者さんに対し、
『分子栄養学』
の考えに基づいた口腔内科に取り組んでいます。
歯周病の治療を口腔内科的に行うことにより、
・ アンチエイジング
・ 動脈硬化悪化の予防
・ 腸内細菌のバランスを整える
などの付随的効果も期待できます。
主な内容は、
(1)血液検査によるアプローチ
(2)食物アレルギー検査によるアプローチ
(3)腸内細菌検査に基づくアプローチ
(4)重金属(特に水銀)の安全な除去によるアプローチ
詳細は、歯周病の内科治療 のページをご覧ください。
2.3DS
ドラッグリテイナーお口の中のとよばれる器具と殺菌剤などを使用し、むし歯菌や歯周病菌を抑制します。
むし歯や歯周病の進行抑制や予防に用いられると同時に、口腔内細菌の血管内侵入を防ぐのにも有効な方法です。
したがって、全身の健康向上にも役立つ方法と言えます。
(1)歯周病など、お口の中で起こる病気の原因は?
歯周病やむし歯は、細菌によって引き起こされる病気です。
特に歯周病菌は、歯周病がある程度進行すると、歯磨きや食事をするだけでも大量に血管の中に入ることがわかってきました。
その結果、全身の健康に悪影響を及ぼすこともわかってきています。
(2)お口の細菌によって惹き起こされる、全身への影響
お口の中に存在する代表的な細菌が血管の中に入り、動脈硬化など、血管の老化を引き起こすことがわかっています。
心臓と歯周ポケットの歯周病菌歯周ポケット内細菌のほとんどは、グラム陰性桿菌とスピロヘータとよばれる菌です。
これらの細菌は、バイオフィルムの中では睡眠状態で静かにしていますが、何らかの原因で血流中などに入り込むと、より強い病原性を持つようになります。
以前は、健康な人においては血液の中にこれらの細菌が入ったとしても、免疫系の働きにより、速やかに駆逐されてしまうと思われていました。
しかし、近年では血流に入り込む菌が全身の様々な臓器(血管を含む)で悪さをしていることがわかってきています。
特に癌や糖尿病の患者さん、高齢者など免疫力が低下している人では、致命的な感染症になることもあります。
また、心臓の弁膜に障害がある人や、人工関節を入れている人では、血流中に入った細菌がその部位に付着して増殖し、バイオフィルムを形成して、細菌性心内膜炎や人工関節に感染を引き起こすことが知られています。
歯周病菌が動脈硬化に関与することを示す研究結果もいろいろ報告されています。
例えば、カナダや北米の研究グループにより歯周病菌が動脈硬化部位に見つかるということが報告されています。
また、腹部動脈瘤の部位に歯周病菌の1種である Treponema denticola という細菌の一種が見つかったという報告も有り、この細菌が血管内皮細胞に侵入できることも、実験により明らかされています。
ほかにも、心臓の冠状動脈狭窄部位の血管内壁プラーク内には、5種類の歯周病菌のDNAが存在していたと言う報告もあります。
そして冠状動脈狭窄部位からの歯周病菌の検出率は、歯周ポケットの深さと関連することも分かりました。
更に、歯周病菌が肝臓内の細胞内に侵入し、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の悪化の危険因子となっていることもわかってきています。
歯周病菌が血管に影響を及ぼすメカニズム
歯周病菌が作り出す毒素成分(内毒素)が動脈硬化性疾患の発症や進展に関わっている、と考えられています。
内毒素は、好中球やマクロファージといった免疫細胞に取り込まれて血液中を運ばれ、血管壁などで炎症性サイトカインの産生を促します。
その結果コレステロールの沈着や細胞傷害などを起こすのではないか、と考えられています。
したがって、動脈硬化や心筋梗塞などの発症を防ぐためにも、歯周病菌の温床となる歯周ポケットを極力少なくし、歯周病の治療・予防に努めることが重要です。
ただ、残念ながら通常の治療・予防のみでは歯周病菌の血管内侵入を完全に抑制することは困難と言われています。
そこで考案された方法が
『3DS』
です。(N社のゲームではありません。)
詳しくは、歯周病の内科治療のページ をご覧ください。
なお、当然ながら毎日の時間をかけた正しい歯磨きも必要です。
(3)お口の中の細菌をコントロールすることにより、全身の管理をする口腔内科
メタボリック症候群を構成する生活習慣病(高血圧・肥満・高脂血症・高血糖)は、それぞれの病気が一度に起きるのではありません。
最初に過食や運動不足などの生活習慣の乱れがあると、やがてドミノ倒しのように順に症状を現します。
これをメタボリックドミノといいます。
このドミノになぞらえると、生活習慣の乱れがあると、その乱れがドミノ倒しの駒を倒す引き金となり、むし歯・歯周病になり、やがて肥満が起こり、インスリン抵抗性(血糖を調節するインスリンが十分に効果を発揮できない)といった状態が生じます。
その結果、食後高血糖、脂質異常症、高血圧が次々に起こり、メタボリック症候群とよばれる状態になります。
生活習慣病のリスクが重なると、病気の進行は何倍もの危険性を伴い、ドミノ倒しのように血管の状態を悪化させ、生命に危険を及ぼす動脈硬化や糖尿病が発生します。
このドミノの上流であるお口の健康(むし歯・歯周病予防と食育指導)を向上させることが、ドミノ倒しの根源を遮断し、メタボリック症候群などの予防にもつながることが、近年強調されるようになってきました。
お口の中の細菌が血管内に侵入して悪さをすることは、本ページに上部に記載してあると共に、歯周病の内科治療のページにも記載してありますので、参考にしてください。
(4)お口の中だけでなく、腸内細菌までコントロール
特殊なサプリメントを使用して、腸内細菌の状態を改善します。
お口の病気とは関係ありませんが、乳児にこのサプリメントを飲ませると、夜泣きが大幅に減るそうです。
乳児の夜泣きの多くはおなか(腸)の痛みが原因だそうです。
このサプリメントにより腸内細菌のバランスが整い、おなかの痛みが軽減することにより、夜泣きを減らすのだそうです。
このサプリメントの開発されたスウェーデンでは、以前からこの目的でかなり使用されていたそうです。
また、胃などにも良い影響を与えることがわかっています。
(詳細はご来院時にご説明致します。)
(5)お口の中の細菌コントロールによって、むし歯・歯周病をコントロール
歯磨き指導に始まり、徹底的な歯石やバイオフィルムの除去
(6)お口の中の細菌コントロールによって、アンチエイジング
歯周病菌は血管を老化させます。
一方、血管の老化が体全体の老化につながります。
3.あいうべ体操
あいうべ体操とは、福岡のみらいクリニック、今井一彰先生が考案された、顔と舌の筋肉を鍛える体操で、この体操を毎食後行う事により口で呼吸している人を鼻で呼吸できるようにすることを目的としています。
今井先生は、
『口呼吸がもたらす最大の弊害は、咽頭リンパ組織の乱れや鼻粘膜などの萎縮、口腔内雑菌の繁殖によって引き起こされる免疫異常である』
と仰っておられます。
(1)あいうべ体操のやり方
あいうべ体操のやり方は、
(1) 「あー」と口を大きく開く
(2) 「いー」と口を大きく横に広げる
(3) 「うー」と口を強く前に突き出す
(4) 「ベー」と舌を突き出して下に伸ばす
を10回繰り返すだけですので簡単です。(下写真)
しかし、真剣に行うと最初はかなり疲れます。
ただ、疲れるということは、舌や唇の筋力が弱いことを意味します。
(2)あいうべ体操の効果
この体操を毎食後必ず行う事により、舌などの筋肉は鍛えられ、口で呼吸している人も鼻で呼吸できるようになります。
その結果長年悩まされたアトピーやリウマチの患者さんが、劇的に症状が改善する場合があるそうです。
実際、当院でも矯正治療を受けておられたお子様にあいうべ体操を実践してもらったところ、ひどいアトピー性皮膚炎が大幅に改善し、大きく腫れていた扁桃腺がほぼ正常に縮小した例を経験しています。
(3)四日市さくら総合歯科のあいうべ体操
当院では、
・ 矯正治療中のお子様に対して
・ 歯周病治療の患者さんに対して
・ ドライマウスの患者さんに対して
・ その他必要に応じ
あいうべ体操をお教えしています。
4.サプリメント外来
(1)サプリメントとは
サプリメントは
・ 現代人に不足しがちなビタミン・ミネラル・アミノ酸などの栄養補給を補助する目的
・ ハーブなど、成分による薬効の発揮を目的
とする食品のことをいいます。
栄養補助食品とも呼ばれています。
当院では、アンチエイジングや生活習慣病の改善のために、サプリメントの販売を行っています。
当院で扱っているサプリメントは、医療機関専売品を中心としております。
したがって、大変良質な商品を取り扱っております。
(2)当院で取り扱っているサプリメント
・ 活性酸素抑制栄養素を含んだもの
・ 免疫力向上に役立つもの
・ 歯周病菌やむし歯菌を減少させるデータが公開されているもの
・ アンチエイジグを目的としたもの
などを取り扱いしております。
(3)活性酸素を抑制する栄養素を含んだサプリメント
「生活習慣病」は、別名「活性酸素病」ともいわれています。
活性酸素は、人間が呼吸を通して酸素を消費する過程で、絶えず生成されています。
酸化力が強く、外部から侵入した細菌を殺すなど、重要な働きをしています。
ところが、同時に細胞を傷つける性質があり、増えすぎると生活習慣病をはじめとする様々な病気、シミ、シワといった老化現象を惹き起こします。
活性酸素が原因で引き起こされる病気には、
・ 糖尿病
・ 高血圧
・ 動脈硬化
・ 脳出血や脳梗塞
・ アルツハイマー
・ 心筋梗塞
・ 血流障害
・ 歯周病
・ がん
・ 白内障
・ アトピー性皮膚炎
・ 胃炎
・ 肝炎
・ 関節炎
など、数多くの疾病が挙げられます。
私たちの体の中には、活性酸素を取り除くSODという酵素が備わっています。
しかし、活性酸素が発生しすぎると、SODの働きが追いつかなくなります。
だから抗酸化作用のあるSOD様物質を含んだ食品を、摂取することが重要なのです。
当院で取り扱いのあるサプリメントの中には、大豆・イチョウ・小麦胚芽・ゴマ・ハト麦・玄米・緑茶・カボチャ・ニンジン・ローズマリーなど、天然食品14種が含まれており、ビタミンやミネラル類など活性酸素を抑制する栄養素がバランスよく配合されています。
(4)むし歯菌や歯周病菌に働きかけるサプリメント
スウェーデンで開発された、2種の特殊な菌を配合したサプリメントで、プロバイオティクスとも呼ばれています。
これらの菌は、実験によりむし歯菌や歯周病菌を抑制するという結果が得られています。
(上のグラフはむし歯菌の抑制効果の研究報告)
また、これらの菌を歯周病治療と並行して使用することにより、治療の効果が増すことも、研究により明らかになっています。
また、乳児の夜泣きの原因として、乳幼児疝痛が取りざたされています。
このサプリメントには、1日に平均220分も泣いていた乳幼児の泣く時間が50分以下に抑制される、という研究結果も存在し、スウェーデンでは既に利用されています。
更に、このサプリメントは、ピロリ菌に対する有効性が臨床試験によって実証されています。
ピロリ菌は世界の人口の約50%、日本人の約70%以上が保有しているといわれています。
日本人は、ピロリ菌に感染していると胃がんに信仰する可能性が高いといわれています。
多くの類似製品には、.必ずしもピロリ菌に対して有効とはいえないものもあるので、注意が必要です。
当院で取り扱いのあるサプリメントは、お口の中だけではなく、上記作用も確認されている、優れた製品です。
(5)ラクトフェリン
私たちの周りには、細菌やウィルスなど、病気の原因となる微生物が多数存在します。
しかし、必ずしもそれにより病気になるとは限りません。
それは、我々の体に『免疫』という機能が存在することによります。
新生児では、この免疫機構が確立されていませんが、出生直後の3日間に出る母乳(初乳)のなかには、免疫機能を強く賦活する作用があり、新生児はそれを摂取することにより免疫システムを確立するものと考えられています。
なかでも、ラクトフェリンと呼ばれるタンパク質は、初乳中に多く含まれており、感染防御因子として重要な役割を担っているといわれています。
ラクトフェリンは、下記のような作用があると、論文発表がなされています。
・ 実験動物において、病原微生物及びウィルス感染に対する防御能を強化
・ 炎症をおさえる作用
・ 化学発癌剤による発ガンを予防する効果
・ ガン細胞による血管新生を阻害する効果
しかし、ラクトフェリンは胃液で分解されてしまう性質があり、服用しても効果が期待できませんでした。
(新生児は胃の働きが未熟であるので、ラクトフェリンが分解できず有効に活用できます。)
当院で取り扱いのあるラクトフェリンは、特殊なコーティングを施すことにより胃で分解されず、.腸まで届いて吸収され、有効活用が期待できる製品です。
お口の中には数百種類の細菌が存在し、その一部は歯周病など病気を引き起こします。
唾液中のラクトフェリンが有効活用できれば、お口の中の環境を整えることが期待できます。
ラクトフェリンは1939年にヨーロッパの学者によって牛乳から発見された鉄結合性の糖タンパク質で、生命活動の要とも言える鉄の運搬・調節に関わっています。
ラクトフェリンは、母乳・唾液などに含まれています。
ラクトフェリンには、以下の作用があります。
抗菌作用
多くの細菌は、生育に鉄が必要です。ラクトフェリンは鉄を奪い去ることで、細菌の増殖を抑制し、強力な抗菌作用を発揮します。
免疫に対する効果
ラクトフェリンは、
・ 白血球の一種(好中球)の分泌顆粒にも含まれ、炎症反応や細菌の感染がおこると 血液中に放出されます。
・ 細菌由来の炎症物質であるLPSと強力に結合します。
それによりLPSのマクロファージへの結合を阻害し、炎症性サイトカイン(TNF-αやIL−6)の産生を抑制する抗炎症作用を持っています。
・ ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の細胞障害作用や、マクロファージの貪食作用を活性化させます。
・ B細胞やT細胞の増殖を促進する作用があります。
・ 経口投与すると、腸間膜リンパ節およびパイエル板で免疫細胞に作用する可能性が示唆されています。
骨を誘導
ラクトフェリンは、骨を作る骨芽細胞の増殖や分化を促進し、骨を吸収する破骨細胞による骨吸収を抑制することにより骨の形成を促進します。
傷の治りを促進
ラクトフェリンは真皮を構成する線維芽細胞や表皮を構成する角化細胞の細胞遊走を促進することにより、傷の治りを促進します。
癌を抑制
ラクトフェリンは動物実験で、発癌や腫瘍の転移を抑制することが報告されています。
ウイルスに対する効果
ラクトフェリンはC型肝炎ウイルスに結合することで、細胞への浸入を阻害することがわかっています。
また、B型肝炎ウイルス・ヒト免疫不全ウイルス・単純ヘルペスウイルスなどの複製を阻害することもわかっています。
(6)歯科医師が開発したサプリメント
もともと、歯周病予防のために開発された、唾液を増加させる糖鎖や、肝機能の改善に効果のあるプラセンタを配合したサプリメント。
それを患者さんに飲んでもらったところ、
・ 朝の目覚めが良い
・ 体の末端が温まり、布団から足を出して寝ても平気になった
という反響が多く寄せられたそうです。
そこで開発者ご自身にも更年期が到来していた、開発者の宝田先生が自ら実験台になり、快眠・美容・肝機能改善のための成分も配合し、完成したのがこのサプリメント。
プラセンタエキス、海藻末、オリゴ糖、アウレオバシジウム培養液、オリーブオイルなどがバランス良く配合されています。
加齢とともに失われるカルシウムやミネラル、プラセンタなどをバランスよく補給できます。
“最近疲れやすい”、“寝ても疲れがとれない”
という方、一度このサプリメントを試しみては如何ですか?
(7)アスタキサンチン
アスタキサンチンは、甲殻類の殻やサケ科魚類の筋肉の赤色部分などに見られる、β-カロテンなどと同じカロテノイドの一種です。
近年、アスタキサンチンは強力な抗酸化作用で注目され、現在、健康維持のための健康補助食品として、利用されるようになりました。
アスタキサンチンは、抗酸化作用を有する天然の物質の中でも、最強の抗酸化作用を持つと言われています。
(8)DHA
DHA(ドコサヘキサエン酸)は不飽和脂肪酸の一つで、魚油(マグロやイワシなどの脂)に多く含まれています。
DHAには、以下のような様々な効果があると言われています。
・ 中性脂肪を低下させる。
DHAは、中性脂肪の産生を抑制し、肝臓での分解を促進するといわれています。
・ 脳の発達を促進させたり、活性化させる。
人間の脳神経細胞にはDHAが原料となっているものが多いため、成長期に摂取すると脳の発育が促進されるといわれています。
また、DHAは脳の情報伝達を活性化させる働きを有し、集中力を高めたりするといわれています。
・ 視力を向上させる。
DHAは、網膜や視神経にも必要です。
DHAを摂取することにより、視覚からの情報をスムーズに脳に伝えることができるといわれています。
・ アトピー性皮膚炎を改善する。
アレルギー疾患の代表であるアトピー性皮膚炎は、DHAの摂取によって改善することが分かっています。
(9)他のおすすめサプリメント:その他
マルチビタミン
亜鉛 など
(10)サプリメント外来について
サプリメント外来は、自費診療で行うことが義務づけられています。
まず、自費診療であることを承諾していただいた上で購入していただきます。
5.漢方薬を使用した口腔内科 *現在当院では一部を除き取り扱っておりません
心身医学的要因による顎関節症、扁平苔癬、舌痛症など、西洋医学的アプローチで症状が改善しない症例は少なくありません。
このような症状改善が困難な症例に対して、漢方薬がかなりの改善効果を示す場合があります。
ドライマウス(口腔乾燥症)や口腔心身症(舌痛症)の治療が代表的です。
漢方医学は中国医学が起源ではありますが、日本で独自に発展した医学です。
漢方=中国医学と勘違いされがちですが、現代の中国医学とは漢方は同一ではありません。
(1)西洋医学と漢方医学の違い
(a) 西洋医学
西洋医学が組織や臓器に病気の原因を求め、治療します。
まず検査を行い、その検査結果から病名を決定し、治療を行います。
(b) 漢方医学
漢方は体質を考慮に入れて体全体の調子を整えることにより治療していきます。
まず四診(望診、聞診、問診、切診)を行い、『証』を決定し、治療を行います。
漢方医学は中国の医学と思っておられる方が多いかもしれませんが、漢方は日本で発展した治療法です。(中国の医学は中医学といいます。)
体の免疫力が落ちていれば、お口の中にも症状(口内炎・ドライマウスなど)が現れます。
体の免疫力を高めることにより、お口の中の病気を改善する目的で、漢方薬が使用される場合があります。
(2)漢方薬とは
漢方薬は、複数の生薬(天然に存在する薬効を持つ産物から有効成分を精製することなく用いる薬)を組み合わせて作ります。
(3)漢方の特徴
心身一如の考え方
心身は一体のものであるという考え方に基づいています。
バランスをとる治療
生体の正常からの偏位を元に戻すのが基本で、心身全体の調和を図ります。
自然治癒力を増強
個人の持っている治癒能力を高めて病変に対処する。
生薬を組み合わせて使用
経験的な組合せを尊重して用いられています。