5.歯ならび・かみ合わせ異常の予防

歯ならび・かみ合わせが悪くなるのは、

 

・ 口を開いて口で呼吸する
・ 舌の機能異常
・ 噛む回数が少なくなった
・ 悪いくせ(頬杖・うつ伏せ寝など)

 

などが原因であるといわれています。
噛む回数を増やす工夫・癖を直すことは、保護者が真剣に取り組めば、簡単な指導で改善出来ます。
しかし、口呼吸と舌の異常は、専門家に繰り返し指導を受けながら訓練しなければ、なかなか改善出来ません。
もちろん、保護者の弛まぬ努力も必須です。
ただ、幼少期の訓練は難しいので、比較的簡単に唇と舌の訓練が可能となる

 

「Infant」

 

と言う装置を使用すると、歯ならび等の異常が起こる確率を事前に減少させることが可能です。

歯ならびを気にして来院された保護者の方に、

 

『歯ならびが悪くなる理由はわかりますか?』

 

と尋ねると、多くの方は

 

『噛む回数が少なくなった』
『硬いものを噛まなくなった』

 

ことが原因と答えられます。
確かにそれも大きな原因の一つです。
しかし近年、それ以外の理由で歯ならびが悪くなったり、顎の発育が悪くなることが強調されるようになってきました。
以下に、歯ならび・かみ合わせ異常の原因について説明します。

(1) 口呼吸

普段口を開いて、口で呼吸していると、歯ならび・かみ合わせが悪くなります。
当院に矯正治療で来院されるお子様は、殆どが口を閉じていません。

 

口を閉じて鼻で呼吸することは、歯ならび・かみ合わせを正常に導くためのみならず、お子様が人生を健康で過ごすためにも重要です。

 

口呼吸例えば、鼻で呼吸することにより脳は冷やされます。
逆に口で呼吸していると脳が十分に冷やされず、脳の活動が低下し知能に影響する場合があるのではないか、と言われています。
また、口で呼吸していることにより、身長や精神状態も左右されると言われています。

 

更に、口で呼吸していると、アトピーやリウマチ、IgA腎症など、アレルギー性の病気を誘発することもわかってきました。
実際、当院でも矯正治療の目的で来院されているアトピーの患者さんが、鼻で呼吸するようにしたところ、アトピーが治り大きく腫れていた扁桃腺も正常になりました。

 

口呼吸

 

このページをご覧になっているお父様・お母様、もしお子様が口をぽかんと開いていたら、要注意です。

(2) 舌の機能異常

人間の舌は、安静にしているとき上あごにくっついているのが正常と言われています。
ところが、矯正治療に訪れる多くのお子様は、この舌が宙ぶらりんになっていたり、下に落ち込んでいます。

 

上あごの歯ならびは、正常な位置にある舌によって押し広げられます。
舌が正しい位置にないと、上あごは十分発育せず、歯ならびは悪くなります。

 

更に、舌が低い位置にあると、下あごに付着している筋肉の力により下あごの成長が妨げられます。

 

上下のあごは本来前下方に成長していくべきなのですが、舌の位置異常の結果前方への成長が阻害されあごは下方にのみ成長し、顔が長くなってしまいます。

 

また、ものを飲み込むとき、舌は上あごに押しつけられるのが正常です。
ところが、矯正治療の必要な患者さんの多くは、舌が飲み込むときに前に出ます。
その結果、かみ合わせが悪くなります。

(3) 噛む回数が少ない

現代人は、昭和初期に比べて噛む回数が半分になったと言われています。
これは食材の軟化と共に、清涼飲料水の影響が大きいと言われています。
噛む回数が少なければ、顎は発育が不十分となり、その結果歯ならびが悪くなります。

 

(4) 癖(くせ)

横向き寝、頬杖、唇の癖(巻き込んだりとがらせたり)によって歯が押されて移動・傾斜し、その結果歯ならびが悪くなります。

 

(5) その他

・ 乳歯が早く抜けてしまった(抜いた)
・ 永久歯が大きい
・ 歯の形や数の異常

 

などによっても歯ならびは影響を受けます。