簡単な分類

感染性歯周炎

高病原性の歯垢(バイオフィルム)によって起こるもので、少量の歯垢で発生するもの。
高病原性の歯垢とは、P.g菌などに代表される、歯周炎を引きおこす性質の強い歯周病菌を含む歯垢のこと。

不潔性歯周炎

低病原性の歯垢(バイオフィルム)によって起こるもので、多量の歯垢が付着することにより発生するもの。
不十分な歯みがきや好ましくない食生活が主な原因となる。

日本歯周病学会による分類(2006年):病態による分類(主要なもの)

T.歯肉病変

1.プラーク性歯肉炎
2.非プラーク性歯肉病変
3.歯肉増殖

 

U.歯周炎

1.慢性歯周炎

主に成人に認められる一般的な歯周炎で、歯ぐきの下に存在する歯垢(バイオフィルム)中の歯周病菌と戦う免疫応答により、歯周組織の破壊される、

2.侵襲性歯周炎

歯垢が少なく炎症も乏しいにもかかわらず、深い歯周ポケットと重度の骨吸収がおこる歯周病。急速な進行や家族内集積性が認められる。
10〜30代と比較的若年層に発症することが多い。

3.遺伝疾患に伴う歯周炎

EFPとAAPによる新しい分類(2017)

2017年にシカゴ(米国)で開催されたヨーロッパ歯周病学会(EFP)と米国歯周病学会(AAP)の合同ワークショップで決定された新しい分類。

 

このワークショップには、世界中から100名を超える専門家が参加し、世界中の患者に対する治療の標準化を目的として決定されました。
この分類は、最新のエビデンス(医学的根拠)に基づいて決められており、患者の健康状態全般も考慮されています。

病期分類(Stage)

重症度別に、4つの病期に分けられており、疾患の複雑性、広がりの範囲と分布もみています。

Stage1

歯ぐきの位置が最大で1〜2mm下がっている
レントゲン画像で歯槽骨の喪失が歯冠側1/3または15%未満
歯周炎による歯の喪失なし
歯周ポケット 4mm以下
水平的骨欠損が一般的

範囲と分布

・局所的:全体の30%未満の場合
・広汎性:全体的に起こっている場合
・大臼歯部に集中しているか切歯部に集中しているか

Stage2

歯ぐきの位置が最大で3〜4mm下がっている
レントゲン画像で歯槽骨の喪失が15〜33%
歯周炎による歯の喪失なし
歯周ポケット 5mm以下

Stage3

歯ぐきの位置が最大で5mm以上 下がっている
レントゲン画像で歯槽骨の喪失が歯根中央部の1/3、34%以上
歯の喪失歯周炎により最大4本まで喪失
歯周ポケット 6mm以下
垂直的な骨の吸収が認められる

Stage4

歯ぐきの位置が最大で5mm以上 下がっている
レントゲン画像で歯槽骨の喪失が歯根中部1/3以上
歯周炎による歯の喪失5本以上
歯周組織の破壊により歯ならびの乱れ、噛めない、かみ合わせによる外傷等が生じている

等級分類(Grade)

進行速度による分類。
比較できるレントゲン写真があればよいが、新患で前のレントゲン写真がない場合、進行の間接的根拠として“年齢に対する骨欠損の率”で判断し、加えてリスクファクターも考慮します。

Grade A

進行速度が遅い
直接的な根拠(以前のレントゲン写真との比較ができる場合)との比較で、歯槽骨に5年以上喪失が認められない
骨欠損(%)を年齢で割った数値が0.25未満
破壊は非常に少ない
リスクファクターなし:喫煙していない、糖尿病がない

Grade B

直接的証拠があれば5年以上にわたって2mm未満の歯槽骨喪失
骨欠損(%)を年齢で割った数値が0.25〜1
歯垢沈着度に見合った歯周組織の破壊が認められる
喫煙は10本未満/日
糖尿病患者であってもHbA1cが7.0未満にコントロールされている

Grade C

直接的証拠があれば5年以上にわたって2mm以上の歯槽骨喪失
骨欠損(%)を年齢で割った数値が1.0以上
歯周組織の破壊程度がプラーク沈着から予想できる以上の破壊が認められる
喫煙1日10本以上/日
HbA1cが7以上でコントロールされていない

 

リスクファクターによってグレードが決まる、と言えます。

 

例えば、5年以上に渡って歯槽骨の喪失がなく、組織破壊もない場合でも、喫煙者であればグレードCになります。つまり、喫煙はそれだけ歯周病のリスク因子となる、ということです。