(1) 免疫力低下の要因

免疫力は様々な要因で低下します。
免疫力
免疫力を左右する因子の例として、

 

食生活、ストレス、腸内環境、口呼吸、睡眠不足、運動、喫煙、低体温

 

などがあります。

 

バランスの良い食生活こそが、免疫力アップのために重要な要素です。
食生活については、『11.食事療法(プレバイオティクス):食育指導』をご覧下さい。

 

ストレスの解消

ストレス解消は、歯科医院での根本的解決は難しい側面がありますが、さくら総合歯科では出来るだけお話を伺ことにより、ストレスを少しでも軽減して戴ければ、と考えています。
また、ご自身でも積極的に適切な休養を取るよう心がけていただき、趣味などでストレスを発散することも重要です。

 

腸内環境の改善

腸内環境は、免疫力に最も影響を与える因子の一つです。
さくら総合歯科では分子栄養学的血液検査(内科などで行う検査とは検査項目が異なります)を行い、患者様に不足している栄養素を調べます。
ただ、不足している栄養素を食事又はサプリメントで摂取したとしても、なかなか効率的に体内に取り込まれません。
そこで、便検査なども行って腸内細菌叢などを調査すると共に、それが効率的に吸収される環境を整えることにより、免疫力の向上を図ることにも取り組んでいます。

 

睡眠

また、睡眠が十分でないと、免疫力が低下します。
免疫 睡眠
このことは、動物実験によって確かめられています。
20分程度のお昼寝も免疫力をアップするといわれています。

 

適度な運動

適度な運動でも、免疫系の細胞が活発になり、免疫力がアップします。
ウォーキングなど軽めの有酸素運動の継続は、免疫力アップに効果的です。

 

口呼吸

口呼吸も免疫に影響を与えます。
さくら総合歯科では、鼻呼吸を行うための訓練についても指導しています。
因みに、口呼吸はお口の中を乾燥させ、このことも歯周病悪化の要因になります。
口呼吸については、15.口呼吸から鼻呼吸への項をご覧下さい。

 

禁煙

喫煙により、歯肉溝・歯周ポケットへ免疫細胞が集まる能力が減少します。
また、喫煙をしている方は歯肉の線維化と毛細血管の減少が生じ、その結果、歯肉の血流が減少することにより、局所の免疫が低下します。
よって、喫煙者にとっては禁煙が最大の免疫力アップと言っても過言ではありません。

 

低体温の改善

体温が低いと免疫力が低下します。
低体温の改善には、毎日20分程度の運動を行ったり、タンパク質の摂取が効果的だそうです。
ただし、日本人は胃酸の分泌が不足している方が多く、そのような方がタンパク質を多く摂っても消化吸収できません。

(2) 分子栄養学的対応

歯周外科や歯周内科を行っても結果の好ましくない場合があります。
そういう方や、手術を回避したい方の治療成績を向上する目的で、分子栄養学的対応を行います。

 

分子栄養学とは物理学者である三石氏が提唱した考え方です。
受け入れ側の身体を分子レベルで考え、各栄養素の役割を最大限に把握し、個人個人の身体の状況に応じ必要な栄養素を検査で明らかにし、必要な栄養素を吸収させることにより、病気を予防することを目的としています。

 

分子栄養学
分子栄養学では、

 

・ 高タンパク
・ 高ビタミン
・ 活性酸素の除去

 

を重視することにより、遺伝子をフルに活動させるための栄養素を補充します。
この方法は血液検査を含む、多くの検査を必要とします。

 

さくら総合歯科は、歯周病に抵抗する免疫力を確保することに特化した栄養療法に取り組んでいます。

(3) 生活習慣病などに対する不要な薬の服用をやめる

高脂血症治療薬であるプラバスタチンによる冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)の発症抑制効果について、5.3年間に渡る4000人規模の研究が行われました。
その結果、5.3年間に冠動脈疾患を発症したのは、

 

・ 食事療法+プラバスタチン群 → 1.71%
・ 食事療法単独群 → 2.55%

 

でした。
つまり、プラバスタチン服用による冠動脈疾患抑制効果は、

 

・ 相対リスク 33%減
・ 絶対リスク 0.84%減

 

という結果となりました。
「33%減」という数字を見ると、まあまあの効果があるのでは?
と思われるかもしれませんが、そうではありません。
この結果を別の表現で表すと、119人に5.3年間治療すると、一人の冠動脈疾患を予防できるということになります。
つまり、メバロチン(プラバスタチンの商品名)の薬価を136円/日とすると、一人の人間を冠動脈疾患から救うために、3149万円が必要という、大変効率の悪い、コストがかかる治療であると言えます。

 

したがって、ある有名な内科の先生は、
「高脂血症の患者には、抗酸化作用のあるサプリメントなどで対処すべきである」
と主張しておられます。
その副次的効果として、歯周病の改善の助けにもなる可能性があります。

 

ただし、そのような治療法に理解のある内科医の指示を仰いでから減薬や断薬を行う必要があります。